ドローン業界の皆さまは、穏やかで聡明な方が多く、日々とても良い刺激を受けています。
ただ、どの業界でもそうですが、残念ながら一部には取引先に対して配慮に欠けるような対応をされる企業があるのも事実です。
先日、東京のドローン測量企業様よりご依頼をいただき、岩手県内の山林における植生現況調査を行うことになりました。
今回は、これまで山林での飛行実績がないパートナー企業様からの紹介でした。
調査の内容は、ドローンによるプログラム飛行で空撮を行い、その写真データをもとに植生の状態を分析するというもの。
レーザー測量による点群データ取得ではなく、写真から植生の実態を把握するため、多くの画像が必要になります。
私たちはこれまで、森林上空での飛行や夜間捜索訓練などを通じてさまざまな飛行経験を積んでいますが、山間部では電波環境が不安定なことが多く、自動航行には一定のリスクが伴います。
しかも今回の調査対象は約100万㎡と非常に広範囲で、エリアを分割しながら丁寧にルート設定を行う必要があり、事前の現地調査にも時間を要する案件です。
そうした背景がありながら、発注元からは「1か月後の納品」とのご要望でした。
目視外飛行に加えて電波が届かない区域での飛行は、現行の法制度下では責任の所在があいまいな部分も多く、安全確保の観点からも弊社としてはすぐにお引き受けするのは難しいと判断しました。
まずは通信が可能な地点を確認し、飛行可能エリアを特定したうえで、安全性を十分に検証しながらルート設計を行う必要があります。
それらを十分に行わずに短納期で進めることには、慎重になるべきだと感じました。
発注元企業とのオンライン会議では、電波環境のリスクについて意見の相違があり、少々やりとりが難航した場面もありました(詳細は控えさせていただきます…^^;)
その後、現地での調査をクライアント様とともに行い、パートナー企業とも綿密な打ち合わせを重ねて、ようやく安全性と効率性を両立した飛行ルートを作成。撮影を無事に実施することができました。
(撮影当日にも発注元企業から予期せぬご要望があり、やや作業が遅延する場面もありましたが…)

広大なエリアに加え、道路状況などの影響もあり、当初の納期には少し遅れてしまいましたが、全体を通して無事故で完了することができました。
今回の案件を通じて、改めて「安全第一・品質第二」の姿勢を大切にしていきたいと実感しています。
なお、今回の発注元企業様からのご依頼につきましては、今後のご縁はあまりなさそうだな…というのが正直なところです(笑)
